前回、ITパスポートが「社会人全員のための国家資格」だとわかったところで、次に気になるのは「じゃあ、どう受かればいいの?」という話です。
実はこの試験、ちょっと変わった仕組みで採点されています。今回は、出題形式から合格基準まで、試験制度そのものを1枚の図で頭に入れてしまいましょう。

ねえ、ITパスポートって4択なんでしょ? だったら適当に埋めても25%は当たるってことよね。楽勝じゃない
その理屈、半分合ってて半分危ないよ
なによ、はっきりしないわね
じゃあ聞くけど、さっき無料の体験問題やってみたら、点数どう出た?
620点。……あれ、待って。4択なのになんで1000点満点なの? 100問解いたのに
そこ、今日ちゃんと説明する
まず出題形式から。試験時間120分、出題数は小問100問、全部四肢択一。ここは普通の試験と同じ
うん、そこまでは知ってる
試験方式はCBT(Computer Based Testing)。紙じゃなくて、会場のパソコンにマウスとキーボードで解答するタイプ。これの一番のメリットは、ほぼ毎日、全都道府県で実施されてること。だから『試験日は年2回だけ』みたいな縛りがない
へえ、それは助かるかも。土日忙しくても平日に受けられるし
で、ここからが本題。さっき『100問解いたのに1000点満点』って言ってたよね。実は、100問のうち採点対象になるのは92問だけなんだ
え、残りの8問は何なの?
今後出題する問題を評価するための、いわば"お試し問題"。受験者にはどれがそれか分からないようになっていて、点数には影響しない。だから素直に全部解けばいい
ふうん……で、その92問がどう1000点になるわけ?
ここが一番大事なところ。ITパスポートはIRT(項目応答理論)っていう方式で採点されてる。単純に『正解した数÷問題数×1000』じゃないんだ
じゃあどうやって出すのよ
ざっくり言うと、どの難易度の問題に正解できたかで評価点が決まる、というイメージ。統計的に難しいとわかっている問題に正解すると、評価点への影響が大きくなる。逆に、易しい問題を落とすと影響が大きく下がる。だから単純に『何問正解したか』を数えても、自分の点数は予測できないんだ
……じゃあ、さっき言った『4択だから25%当たる』は?
そこが半分危ないところ。勘で当てた問題は、当然だけど正答率が低い水準に落ち着く。IRTは『どんな問題に正解する傾向があるか』を見てるから、当てずっぽうを繰り返しても、実力以上の評価点にはならないようにできてる
……つまり、ちゃんと実力つけないとダメってことね
そういうこと

次は合格基準。ここにも、2つのハードルがある
2つ?
1つ目は総合評価点600点以上(1000点満点中)。これはシンプル、全体の総合力の基準
うん、それはわかりやすい
2つ目が見落とされがちなんだけど、分野別評価点も、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系それぞれで300点以上必要なんだ。3分野とも、それぞれ1000点満点で判定される
……え、待って。総合で600点取れてれば、それでいいんじゃないの?
それだと落ちるケースがある。たとえば、テクノロジ系が得意で900点、でもストラテジ系が苦手で280点だったとする。この場合、総合点は3分野の総合評価から出るから600点を超えることもあり得るけど、ストラテジ系が300点に届いていないと不合格になる
厳しいっ……なんでそんな仕組みなのよ
得意分野だけ伸ばして、苦手分野を丸ごと捨てる戦略を防ぐためだよ。ITパスポートは『社会人としてバランスよく基礎知識がある』ことを証明する試験だから、どれか1分野が極端に弱い人には合格させない設計になってる
……なるほどね。じゃあ私、法務とか経営戦略とか、後回しにしちゃダメってこと
うん、正直に言うと、そこが一番の落とし穴になりやすい

最後に手続きの話。申込みはWebサイトから、試験前日の正午まで変更できる(クレジットカードやバウチャー払いの場合)。だから『思ったより準備できてない』と思ったら、直前まで日程をずらせる
それは安心材料ね
結果も当日中にWebで確認できるし、受験後1年間は結果レポートもダウンロードできる。じりじり結果を待つ、みたいなことがないのもCBTのいいところ
……つまり私、ストラテジ系もちゃんとやらないと、テクノロジ系でどれだけ稼いでも落ちるってことね
うん、その理解で合ってる
じゃあ次は、その勉強、いつから何をすればいいのかって話よね
よくわかってるじゃん。次回はそこ、スケジュールの立て方をやろう
というわけで、著者が作った無料の過去問アプリ「ITパスポート学習」を紹介しておきます。分野別正答率がグラフで見られるので、自分がどの分野で300点ラインに届いていないか、感覚じゃなく数字で確認できます。