第11回 ストラテジ 中分類7 システム企画(大分類3 システム戦略)

【第11回】「要件定義」を発注する側の気持ちで理解する

ストラテジ系のラスト、システム企画を扱います。テーマは「発注する側」の視点。自分でシステムを作らなくても、発注する立場になったときに何を決める必要があるかを知っておくと、この分野は一気に理解しやすくなります。

この記事でわかること

美咲、つまずく

美咲

もし私が社長で、システム会社に発注するなら『いい感じのアプリ作ってください』でよくない?

拓也

絶対それ、痛い目に遭うやつ

美咲

え、なんで。丸投げすれば楽じゃない

拓也

『いい感じ』の中身が、美咲とシステム会社で一致してないと、完成した頃に『これじゃない』ってなる。今日はそこを避ける方法の話

美咲

……なんか嫌な予感がしてきた

比喩イラスト/発注書に「いい感じのアプリ作って」とだけ書いて拓也に突っ込まれる美咲

本編①:システム化計画と要件定義

拓也

システム開発は、いきなりプログラミングから始まるわけじゃない。まずシステム化構想(何のためにシステムを作るか)を固めて、それを要件定義(具体的に何ができればいいか)に落とし込む

美咲

要件定義……前にも聞いた気がする

拓也

うん、この後の第12回でも詳しくやるけど、ここで大事なのは要件定義はユーザー側(発注する側)の仕事でもあるということ。開発会社にお任せじゃなく、『何が欲しいか』を言語化する責任は発注側にもある

美咲

……さっきの『いい感じのアプリ』が通用しない理由がわかったわ

拓也

そう。欲しいものを言語化する大変さに気づけたなら、もう半分理解できてる

本編②:調達の流れ

拓也

じゃあ実際、システムを外部に発注するときの流れを見ていこう。まずRFI(情報提供依頼書、Request for Information)——複数の会社に対して『御社にはどんな技術や実績がありますか』と、情報提供を求める文書

美咲

まだ発注が決まってない段階よね?

拓也

そう、いわば下調べの段階。候補を絞り込んだあとに送るのがRFP(提案依頼書、Request for Proposal)。今度は『こういう要件で、こういうシステムを作りたい』と具体的に伝えて、各社から提案書と見積りをもらう

美咲

RFIで広く調べて、RFPで具体的に依頼する、ってことね

拓也

そのとおり。そして契約の段階になると、契約形態を選ぶことになる。代表的なのが請負契約準委任契約

美咲

何が違うの?

拓也

請負契約は、成果物の完成そのものを約束する契約。納期までに『動くシステム』を完成させる義務がある。一方準委任契約は、決められた業務を誠実に遂行することを約束する契約で、必ずしも特定の成果物の完成までは約束しない

美咲

完成を約束するかどうか、なのね

拓也

そう。ちなみに、どちらの契約でも共通しているのが、発注側(ユーザー企業)には受注側の作業者に対する指揮命令権がないという点。『この人に直接あれやって』と指示できるのは、あくまで受注側の会社。これができるのは労働者派遣契約の場合だけ、という違いも覚えておくといい

美咲

請負も準委任も、直接指示はできないってことね

拓也

最後にSLA(サービスレベルアグリーメント、Service Level Agreement)。これは開発の話じゃなく、システムを運用していく段階で交わす、『どの程度の品質・可用性でサービスを提供するか』を約束する文書。『稼働率99.9%以上を保証する』みたいな数値目標を定めることが多い

美咲

作って終わりじゃなくて、その後の約束もあるのね

概念図解/システム化構想〜要件定義〜調達〜契約の流れ図

ITパスポート的に狙われるポイント

【第11回】「要件定義」を発注する側の気持ちで理解する|比較表
拓也

1つ目は、RFIとRFPの違い。『情報を集める段階』か『具体的な提案を求める段階』か、依頼するタイミングと目的で見分ける

美咲

2つ目は?

拓也

請負契約と準委任契約の違い。成果物の完成を約束するかどうかで見分けるのが基本で、『発注側に指揮命令権がない』のは両方に共通するポイントとして、労働者派遣契約とセットで問われやすい

まとめ・次回予告

美咲

発注する側の気持ち、ちょっとわかったかも

拓也

いいね。ここまででストラテジ系は完了。次からはマネジメント系、実際にシステムがどう作られていくか——さっき話した要件定義の続きから始めよう

美咲

お、いよいよ『作る側』の話に入るのね

📱 アプリで過去問を解く

美咲

発注する側の気持ち、ちょっとわかったかも

拓也

わかったのと解けるのは、また別腹だからね

著者が作った無料の過去問アプリ「ITパスポート学習」の「システム企画」で、そのまま手を動かして確認できます。間隔反復法(SRS)が「忘れかけた瞬間」に自動で再出題してくれるので、読みっぱなしでは終わりません。