「炎上プロジェクト」という言葉、IT業界に限らず聞いたことがある人は多いはずです。今回は、なぜプロジェクトが炎上するのか、その仕組みをプロジェクトマネジメントの基本用語から読み解きます。
聞いてよ、サークルの学園祭準備、完全に終わってないの。前日なのに看板もまだ、シフトも決まってない、もう最悪
それ、教科書に載せたいレベルの炎上プロジェクトだね
炎上プロジェクト?
うん、まさに今日のテーマ。なんで美咲のサークル、そうなったと思う?
……なんとなく頑張れば終わると思ってたから、かな
それが一番の原因だよ。今日、その仕組みを説明する

プロジェクトマネジメントの基本にあるのがQCD。Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の3要素
その3つがどうしたの?
大事なのは、この3つがトレードオフの関係にあるってこと。納期を早めようとすれば、人を増やしてコストが上がるか、品質を落とすしかない。品質を上げようとすれば、時間かコストがかかる
……あ、学園祭も、看板を急いで作ろうとしたら雑な出来になったやつだ
まさにそれ。QCDのどれか1つだけを見て突っ走ると、他が犠牲になる
じゃあどうすればよかったの?
そこで役立つのがWBS(作業分解構成図)。プロジェクト全体を、実行可能な単位まで細かく分解して、階層的に整理する手法。『学園祭準備』みたいな大きすぎるタスクのままだと、何から手をつけていいかわからなくなる
『看板作り』『シフト決め』『備品調達』……みたいに分けるってこと?
そう、それがまさにWBS
タスクを分解したら、次はスケジュール。ここで使われるのがアローダイアグラム。作業の順序関係を矢印でつないで図にしたもの
順番がわかる図ね
そしてこの図の中で、最も時間がかかる経路のことをクリティカルパスと呼ぶ。この経路上の作業が1つでも遅れると、プロジェクト全体の完了が遅れる
……つまり、一番大事な道筋ってこと?
そう。だからプロジェクト管理では、クリティカルパス上の作業を最優先で監視する。逆に、クリティカルパス上にない作業は、多少遅れても全体には影響しにくい
学園祭も、看板は最初にやらなきゃいけない作業だったのかも
あと、もう1つ大事なのがリスクマネジメント。プロジェクトには不確実なことがつきものだから、あらかじめ備えておく必要がある。基本の流れは、リスクの特定→分析(発生確率・影響度の評価)→対応(回避・軽減などの策を決める)→監視
起きてから対応するんじゃなくて、先に備えるのね
そう。学園祭で言えば『雨が降ったらどうするか』を前もって決めておく、みたいなことだね


1つ目は、クリティカルパスの考え方。『最も時間がかかる経路が全体の期間を決める』という関係を理解しておくこと
2つ目は?
QCDのトレードオフ。『どれか1つを削ると、他に影響が出る』という関係性を問う問題が定番だよ
……次の学園祭は、ちゃんとWBS作るわ
その意気。次は、作ったシステムを実際に使い続ける段階の話。『作って終わりじゃない』ってよく言うんだけど、意味わかる?
え、完成したら終わりじゃないの?
……そこ、次回でしっかり説明するね
著者が作った無料の過去問アプリ「ITパスポート学習」の「プロジェクトマネジメント」で、そのまま手を動かして確認できます。間隔反復法(SRS)が「忘れかけた瞬間」に自動で再出題してくれるので、読みっぱなしでは終わりません。