前回まででシステムの「作り方」を一通り見てきました。でも実は、完成してからが本番です。今回はシステムを安定して動かし続けるための、サービスマネジメントの話をします。
システムって、完成したらそこで終わりでしょ? あとは使うだけ
それ、実は逆なんだよね。完成してからが本番
え、どういうこと?
家も、建てて終わりじゃなくて、そこから住み続けるでしょ。掃除も、設備の点検も必要。システムも同じで、完成後にちゃんと運用し続ける仕組みが必要なんだ
……たしかに、建てただけで放置されたら困るわね

システムを安定的・効率的に運用し続けるための一連の管理活動をITサービスマネジメントと呼ぶ。この考え方の土台になっているのがITIL(Information Technology Infrastructure Library)、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたガイドライン
ベストプラクティス?
『こうやると上手くいきやすい』っていう、業界で積み上げられたノウハウ集、というイメージでいいよ
なるほど
あと、第11回で出てきたSLA、覚えてる? 『稼働率99.9%以上を保証する』みたいな約束の文書
うん、覚えてる。作って終わりじゃなくて、その後の約束って言ってたやつ
そう。SLAは結ぶこと自体がゴールじゃなくて、結んだ約束を実際に守り続けることが本番。だから運用の仕組みが必要になる
運用の現場でよく出てくるのが、この3つ。インシデント管理、問題管理、変更管理
名前が似てて、絶対ごっちゃになりそう
1つずつ整理しよう。インシデント管理は、実際に起きたトラブルに対して、とにかく早くサービスを元に戻すための応急対応。原因の追求より、まず復旧が優先
消火活動、って感じね
いい例え。それに対して問題管理は、そのインシデントがなぜ起きたのか、根本原因を突き止めて再発を防ぐための活動。応急処置じゃなくて、火種そのものを取り除く
消火のあとに、火事の原因を調べる感じね
そのとおり。最後、変更管理は、システムに変更(アップデートやパッチ適用など)を加えるとき、それが新たなトラブルを生まないよう、あらかじめ承認プロセスを通して安全に反映するための仕組み
勝手に変更しちゃダメ、ってことね
うん。変更管理をすっ飛ばして本番環境をいじると、それ自体が新しいインシデントの原因になりかねない
あと、システムを支える物理的な設備——データセンターの電源、空調、セキュリティなどを管理するのがファシリティマネジメント。システムそのものだけじゃなく、それを支える"箱"の管理も運用の一部なんだ
そこまで含まれるのね


1つ目は、インシデント管理と問題管理の目的の違い。『応急処置か、根本解決か』、この軸で見分ける
2つ目は?
変更管理の承認プロセス。『誰かが勝手に変更していい』わけではなく、あらかじめ決められた手順を経て反映する、という前提が問われやすい
作って終わりじゃないの、ちょっと衝撃だったんだけど
じゃあ次は、その運用がちゃんとできているかを"チェックする"側の話。監査って聞いたことある?
監査……なんか怖い響きね
著者が作った無料の過去問アプリ「ITパスポート学習」の「サービスマネジメント」で、そのまま手を動かして確認できます。間隔反復法(SRS)が「忘れかけた瞬間」に自動で再出題してくれるので、読みっぱなしでは終わりません。