第20回 テクノロジ 中分類16 システム構成要素(大分類8 コンピュータシステム)

【第20回】クラウドって結局どこにあるの?

前回はコンピュータ1台の中身を見ました。今回は、そのコンピュータを複数組み合わせて、大きなシステムをどう作るか——という話です。「クラウド」の正体も、ここで明らかになります。

この記事でわかること

美咲、つまずく

美咲

クラウドって、雲の上にデータがふわふわ浮いてる、みたいなイメージなんだけど

拓也

そのイメージ、今日で直させてもらうね

美咲

え、違うの?

拓也

うん、雲の上どころか、実はものすごく地上の、しかも巨大な建物の中にある

美咲

……え、うそ

比喩イラスト/「クラウドって雲の上?」と空を見上げる美咲、地図でデータセンターを示す拓也
比喩イラスト/「クラウドって雲の上?」と空を見上げる美咲、地図でデータセンターを示す拓也(つづき)

本編①:システム構成の基本

拓也

まず基本の構成、クライアントサーバシステム。利用者が使う側の機器(クライアント)と、サービスを提供する側の機器(サーバ)に役割を分けた仕組み。スマホでアプリを使うとき、裏側では必ずどこかのサーバとやり取りしてる

美咲

アプリの裏に、サーバがあるのね

拓也

そう。で、そのサーバが止まったら大変なことになるから、冗長化という考え方がある。代表例がデュアルシステムデュプレックスシステム

美咲

また似た名前……

拓也

デュアルシステムは、2系統のシステムが常に同じ処理を並行して行い、お互いの結果を照合し合う構成。片方が故障しても、もう片方がすぐに引き継げる。デュプレックスシステムは、主系(普段使う側)と従系(待機している側)に役割が分かれていて、主系が故障したときに従系へ切り替える構成

美咲

両方同時に働かせるか、片方を待機させておくか、の違いね

拓也

あと、アクセスが集中したときに、複数のサーバに処理を分散させる負荷分散という考え方も、システム構成の重要な要素

本編②:クラウドコンピューティングと仮想化

拓也

じゃあ本題、クラウドの正体。クラウドサービスは、実際には世界中のデータセンター——サーバがずらっと並んだ巨大な施設に、実体がある

美咲

そこにデータが置いてあるのね

拓也

そう。私たちは、そのデータセンターのコンピュータ資源をインターネット経由で"借りて"使ってる、というのがクラウドの正体

美咲

じゃあ、雲は関係ないのね

拓也

英語の“cloud”は、ネットワークの向こう側の仕組みを雲の絵で表現していた、というのが由来の1つと言われてる。データそのものが雲に浮いてるわけじゃないよ

美咲

なるほど、名前のイメージに騙されてたわ

拓也

このクラウドを支える技術が仮想化。1台の物理的なサーバを、ソフトウェア的に複数台のサーバであるかのように分割して使う技術。効率よくリソースを使い分けられる

美咲

1台を、何台にも見せかけるのね

拓也

あと、将来の負荷(利用者数やデータ量の増加)を見越して、どれだけリソースを確保しておくか計画するのがキャパシティ管理

概念図解/クライアントサーバ構成図、仮想化のイメージ図(1台の物理機を複数の仮想機に分割)
拓也

最後に、クラウドサービスの提供形態。SaaS・PaaS・IaaSという分類がある。違いは『利用者がどこまで管理するか』

美咲

範囲が違うのね

拓也

SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアの機能そのものをサービスとして提供するタイプ。利用者は用意されたアプリを使うだけ。PaaS(Platform as a Service)は、アプリを動かすための土台(OSやミドルウェア)まで提供するタイプ。利用者はその上でアプリを開発する。IaaS(Infrastructure as a Service)は、サーバやネットワークなどインフラ部分だけ提供するタイプ。利用者はOSから自分で構築する

美咲

利用者が管理する範囲が、SaaS<PaaS<IaaSの順で広くなるのね

拓也

まさにそういう理解でOK

ITパスポート的に狙われるポイント

【第20回】クラウドって結局どこにあるの?|比較表
拓也

1つ目は、デュアルシステムとデュプレックスシステムの構成の違い。『2系統が同時並行』か『主系と従系』か

美咲

2つ目は、SaaS・PaaS・IaaSで利用者が管理する範囲ね

拓也

そう。『どこまでを提供者が用意してくれるか』の線引きを問う問題が定番だよ

まとめ・次回予告

美咲

クラウドが雲の上じゃないの、地味にショックだった

拓也

次は、身近な機器の話に戻ろう。OSって、結局何をしてくれてるものか、説明できる?

美咲

……アプリの一種、じゃないの?

拓也

……そこも、次回で直させてもらうね

📱 アプリで過去問を解く

美咲

クラウドが雲の上じゃないの、地味にショックだった

拓也

ショックついでに、SaaSとPaaSも整理しておこう

著者が作った無料の過去問アプリ「ITパスポート学習」の「システム構成要素」で、そのまま手を動かして確認できます。間隔反復法(SRS)が「忘れかけた瞬間」に自動で再出題してくれるので、読みっぱなしでは終わりません。